1、                はじめに

 三年生になって、それぞれ部活の幹部や、総務委員、レポートなど今までに経験したことのないことをしてとても疲れているように見える。そういう自分も今年の学園祭のOOOOOOをして、部活でもOOOOOをしたりしていて、かなりの疲労や、ストレスを感じたりすることが、多くありる。そこで、いろいろな大変な仕事やそこから来るストレスが人の体にどう影響するかということを知りたいと思って、今回のキーワードを選ぶことにした。

 

2、選んだキーワード

「ストレス」と「過重労働」

 

3、選んだ論文の内容の概略

   1、「過重労働と職業性ストレスが自律神経機能と動脈硬化度に与える影響の定量的評価」

  中尾睦宏 野村恭子 苅田香苗 綿谷まりこ 森田美保子 矢野栄二

 

 過度の長時間労働による疲労の蓄積は、、血圧の上昇や血管病変などを引き起こし、脳・心臓疾患発症のリスクを高めると考えられている。血管病変の評価に関しては、脈波伝播度速度測定が、動脈硬化度を知る有用な手段として注目されている。そこで、1)脈波を利用した動脈硬化度の測定、2)交感神経・副交感神経といった自律神経機能測定(心拍変動成分)、3)ストレスホルモン測定(血中カテコラミン・コルチゾール濃度など)、4)標準化された質問紙評価(職業性ストレスと心理状態)を実施し、過重労働を含む職業性ストレスが脈波伝播速度に及ぼす影響について調査した。

 研究対象者は、都内の某会社(IT、情報関連)で一般健康診断を受診した男性社員(平均年齢30歳)であった。

 脈波伝播速度・心拍変動・交感神経機能・副交感神経機能を測定した。職業性ストレスは標準化された質問紙(JCQ)を用いて評価した。JCQは、仕事の「要求度」、「裁量度」、「支援度」の3指標からなり、「要求度」と「裁量度」の相対比はストレイン指数と定義された。

過重労働時間は、健康診断の直前3ヶ月の時間外労働時間を平均して求めた。

 結果として、脈波伝播速度・交感神経機能・副交感神経機能の3変数と過重労働時間の間には有意な相関は認めなかったが、JCQ要求度と過重労働時間の間には有意な相関があった。また脈波伝播速度は、交感神経機能と有意な正の相関が、副交感神経機能と有意な負の相関があることがわかった。

 考察として以下のことが、あげられている。

 本研究では、JCQ要求度は過重労働時間とは正の単相関があり、副交感神経機能とは負の単相関があった。しかし、このJCQ要求度は脈波伝播速度や交感神経機能とは有意な単相関がなかった。JCQ裁量度は脈波伝播速度と正の単相関があり、ストレイン指数は脈波伝播速度と負の単相関があった。さらに脈波伝播速度を予測する重回帰モデルでは、JCQ要求度は有意に負に関連する説明変数となった。従来の職業性モデルの理論では、仕事の要求度が大きく、仕事の裁量度が少ないと、ストレスを感じやすくなると考えられていたので、今回の結果は興味深かった。しかしながら、本研究では、情報産業という特殊な職種における若年者を対象とした断面調査であり、慎重な結果解釈が求められる。

 第一に、JCQはもともと米国で開発された質問紙なので、仕事上のストレスに対する感じ方が、米国人と日本人で異なる可能性がある。仕事の要求度が少なかったり自由裁量度が大きいと、日本人はむしろ責任を感じたり判断に困るのかもしれない。

 第二に、脈波伝播速度が進展する労働者だからこそJCQ要求度が低くなったという考え方も可能である。平均血圧、血清中性脂肪、心拍数、Body mass indexなど代表的な心血管リスク因子とは、確かに正の関連があった。交感神経機能の正の関連も交感神経活動が動脈硬化を促すと考えれば生理学的に納得できる所見である。ところが心理学的変数に関しては、POMS(気分調査票)は正の関連があったものの、うつ尺度は負の連関があった。あくまで可能性であるが、脈波伝播速度が進展した労働者は身体的ダメージを確かに受けている一方、怒りや敵意を表出しながら抑うつ症状は顕著でなかったため、自ら仕事を上手に回避する、または上司が仕事を押し付けるのをためらう傾向があったのかもしれない。

 最後に、情報産業従事者はVDT作業時間が長く、年齢層も若い傾向がある。こうした労働者は物理的な身体負荷よりも、眼精疲労・精神疲労・対人関係など様々な心理的負担がかかっている。コンピュータ技術の進歩は早いので、第一線で働ける期間は限られており、早く管理職に昇進する必要があるなど将来に対する特有の不安があるかもしれない。今回、脈波伝播速度は若年者においても血圧・心拍数・血清中性脂肪といった身体的な変数に大きく影響を受けていたが、職業性ストレスと脈波伝播速度をつなぐ緩衝要因は他にも多く存在する。例えば、職業性ストレスを評価する質問紙に回答してもらう際にも、同じストレッサーを受けてもストレスを訴える者とそうでない者がいる。感情を認めにくい傾向(失感情症)や身体不調を過度に受け止める傾向(身体感覚増幅度)など、様々な心理学的原因が考えられ、これら個人内要因と職場環境の両者を十分に考慮しながら職業性ストレスの研究を今後進めていく必要がある。

 

   2、「職場における精神的ストレスと心血管疾患」

  和田攻

 

 近年、過労死問題が、わが国の社会問題となり、また世界的にも「Karoshi」という病気が日本では大流行しているという話で賑わっている。近年のストレスの多い職場環境と生活習慣病で労働者の中で最も死亡率の高い虚血性心疾患が脳卒中と並んで産業保健では注目され、行政的にも種々の対策がたてられつつある。

 1974年には、「仕事ストレインモデル」が開発され、このモデルに従って、その後、多くの疫学調査が科学的に行われるようになった。このモデルは最初は、職業性ストレインは、精神的仕事量の要求が大で、仕事の自由度が少ないほど大となるという仮説に基づいており、これが交感神経副腎髄質系および副腎皮質系を刺激し、高血圧その他の心血管疾患を助長するとしている。その後、この二次元仮説にもう一つの要因である社会的支持の大小が加わって三次元仮説となっている。すなわち社会的・職域での支持がなく孤立しているとストレインは大となるというものである。ただし、要求度が大でも自由度が大であればストレス対処の良い行動が作られ、健康には正に働くとしている。

 1996年には「努力‐報酬不均衡モデル」が提唱された。仕事ストレインモデルが仕事の各時点での自由度を強調しているのに対し、このモデルは長期間のマクロのレベルの仕事のコントロールと昇進、仕事の安全性、誇りや等級、収入などの報酬とのつり合いを強調したモデルである。この場合、努力は外因的には仕事の要求量、内因的にはこの要求に対する個人の過剰努力性に由来していると考えられ、それとそれに対する報償のバランスでストレスの発生とその量が決められているとするものである。

 現在までに評価し得る雑誌に掲載された論文をまとめると、

 (1)仕事ストレインモデルによる研究では、コホート調査10研究のうち6つの報告が種々形の低自由度性労働で、虚血性心疾患との有意な相関がみられている。また、4つの研究調査で、高要求低自由度作業で有意の関連が報告されている。高ストレス要求労働では1つで、また、高要求低自由度低支持労働で1つ有意な相関がみられている。

 一方、4つのコホート調査では、有意な相関がみられていない。真実か錯乱要因によるものか不明であるが、そのうち3つの調査では12‐25年間の観察であるが、その間の仕事の変化が検討されていない。また2つでは心疾患羅患年齢が高い。一般に高年齢ではリスク要因の関与が低下するとされている。

 以上、現状では、評価し得るデータは少なく、仕事のストレスが虚血性心疾患の原因として、どの位の意義をもっているか正確には判断できないが、高要求低自由度低支持性の労働は、ある程度の虚血性心疾患の憎悪ないし発症に関与していると考えられている。

 (2)努力‐報酬モデルによる研究では、コホート調査は5つある。最初に発表された論文によると、他の行動的ないし身体的リスク要因を補正しても、多くの仕事に関する高い努力項目と低い報酬は、各々独立した虚血性心疾患の強いリスク要因となることが示されている。

 また別の調査で低要求高収入の対照に比べ、高要求低収入労働者は、約2倍の心筋梗塞を示したとしている。また、高要求低収入の労働者群は、頚動脈の動脈硬化度が著しく大であった。

 以上、代表的なストレスモデルで、ストレス性労働の評価は可能と思われる。しかし、多くの評価項目のうち、どれが特異的に心血管疾患と関連し指標として用いられるか、また種々の評価項目は、相加的に働くのか相乗的に働くのかなど、これから解決すべき問題は多い。

 働く人々の虚血性心疾患の成因ないし要因として、社会的意味において過労が強調されているが、実際は、個人的な生活習慣も大きく関与していると考えられている。血圧、コレステロール、HDL‐コレステロール、糖尿病、喫煙、心電図上左室肥大などがリスク要因であり、全て正常の人に対し、全て異常の人では6〜7倍のリスクがある。個々の要因の相対リスクは、ストレス性労働によるリスクとほぼ同じ位である。いかに個人的な日常生活習慣の改善とリスク疾病の治療が虚血性心疾患の予防に重要であるかが分かる。

 

4、考察

 うつ病での労災申請がとても多くなっている。そして、特に30代の申請者が最も多い。うつ病の原因としてあげられるのが、職場環境の大きな変化である。例えば、不況時の人員削減によって、1人1人の負担が増え、ストレスがたまってしまうことである。また、近年言われている成果主義も1つの要因になっている。それぞれの仕事が増えることで、周りとのコミュニケーションも減り、心の病にかかってしまうという悪循環になってしまう。ストレスと虚血性心疾患、動脈硬化などは密接に関係しており、過重労働が心の病だけでなく、命をも奪いかねないことになる。こうなる前に周りが気づき、休みを与えたり、いろいろと話を聞くといった対策をしなければならない。しかし、医者のような職業は忙しすぎるのが当たり前で、現場の方々いわく、休みはほとんど無い状態だそうだ。かといって仕事を減らすわけにはいかない、となれば、その状況の中ででいかに心に負担をかけないかが大切になってくる。そこで重要なのはやはりコミュニケーションだろう。誰かに話をするだけで気が軽くなっるといった経験はほとんどの人が持っていると思う。そういう簡単なことこそ他の何にも代えがたいものになる。

 

5、まとめ

 自分たちはまだ3年で今、大変だといってもこれから先まだまだ大変になる。だから、自分の周りにいる人たちとのコミュニケーションを今から本当に大切にしなければいけないと改めて痛感した。